テレビの歴史番組もそろそろ・・・
「オンデマンドでBS歴史館を見た。邪馬台国論争が話題。「日本人の心のありか」という訳のわからない言葉がキーワードのように使われ、焦点がぼけてしまっている。作家ならいいかもしれないが、歴史家までがこんな言葉を弄んでいるようではねー(^^;) 」
以上は昨日のツィッターへの投稿です。MHKの歴史番組も最近は専門家や詳しい作家などが直接登場するケースも少なくなってきたようですが、BS歴史館は一応、2,3人の専門家や一応は詳しいと思われる識者による座談形式になっているため、ある程度の期待は持っていたのですが、やはり所詮は今のテレビ番組、期待しても仕方ないのかも知れません。
というのも、私自身は最近まで特に邪馬台国に興味を持っていたわけでもなかったのですが、昨年あたり、一種の気まぐれというか、「倭人伝を読み直す―森浩一著」という本を衝動買いして一読し、それ以来、日本史全般への興味とともに古代史に対するが幾分強まってきていた事もあり、この番組には多少期待して見たわけです。ところが見た印象は冒頭のツィッターコメントのとおり、なんだかピンぼけ写真を見せられたような印象でした。
「倭人伝を読み直す」は専門家の著者の本だけあって程度が高く、私自身はごくおおざっぱに読んだだけですが、冒頭で、奈良の巻向遺跡を卑弥呼の邪馬台国であるものと断定する風潮を非常に強い調子で批判していたことは記憶していました。ところがこの番組ではほぼ全員がそろって、断定はしないものの、奈良の巻向遺跡を卑弥呼の邪馬台国であるものと「思う」ことを表明していたと言えます。その根拠はピンぼけ写真のようなおおざっぱな印象のに残しておいたまま、それ以上厳密に掘り下げるのではなく、あとは「日本人の心のありか」といった訳ののわからない、少なくともまた全然別の問題といえる議論で混ぜ返し、ますます焦点をぼやかしていったような印象でした。
(「倭人伝を読み直す」は今日から再読し始めた。新書版の比較的小さな本だが、相当に密度が濃く、やはり即席に読める本ではないことがわかる。)